腰痛治療の古い方法

治らない腰痛の原因そして最新の治療方法

多くの人が、腰痛が治らない事に悩んでいます。
「なぜ治らないのでしょうか?」
その事に関して一番多い原因は、腰痛治療の「常識」が古いからです。

1.安静
2.筋力アップ
3.正しい姿勢を維持する
この3つが古い常識です
安静は、腰椎と股関節を硬くします。

ギブスをしていると関節が硬直して、リハビリが大変になることは良く知られています。
何故そうなるのかというと、関節は動くことによって、関節の中にある潤滑油の循環が良くなり、靭帯が適度に伸びたり、縮むことによって柔軟性を保つことができます
それを安静にすることは、腰椎と股関節が硬くなる事を助長するだけです

歩けるのであれば、歩いているうちに楽になります
但し、歩き過ぎても痛くなりますので、様子を見ながら歩く距離を調整します
最初は10分で十分です。最大でも一時間程度でやめておくことが適切です

腰に巻くコルセットは、全く動けないのに、どうしても動かなければならない時に、巻くと動けるのであれば、効果的です。
ただし、そのまま何週間も巻き続けるのはお奨めしません
やはり、何もつけずに普通に生活する事が重要です

お奨めの治療方法は、オステオパシーによる股関節と腰椎の治療です
オステオパシーは元々「オステオ=骨」+「パシー=治療」という意味です。骨を治療することは得意とする分野です。
※現在は骨だけではなく、筋肉、神経、内臓、感情、エネルギーその他、あらゆる部分を治療できます
関節の動きを制限する靭帯に対して繊細な動きで、緩めていきます
これはマッサージやポキッと音を鳴らす方法とは違います。
筋力アップは、筋肉を硬くします

筋力はアスリートでない限り、生活に必要な筋力で十分です
もしも筋力が弱い事が腰痛の原因であるならば、筋力の弱い子供たちの方が大人よりも腰痛が多いはずです。しかし圧倒的に子供より大人の方が腰痛になっています。
一方でもしも筋力の弱い事が腰痛の原因であるならば、スポーツ選手で腰痛になる人が居ない事になります。
そんな事はなく、多くのアスリートが腰痛によって現役引退を余儀なくされています
ある患者さんで、1週間に6日スポーツジムに通い、マシンを使った筋力アップをトレーナーの基、トレーニングをしていました。
その方の目的はボディビルダーとして、コンテストで優勝することでした。
その方は、筋肉隆々でしたが、身体中に痛みを訴えていました
当然のように腰痛を訴え治療するのですが、トレーニングをするとすぐに痛みが再発します
目的がコンテスト優勝なので、トレーニングをする事をやめないのは仕方ありません
そしてその方はストレッチや水泳などのトレーニングを嫌い、身体の柔軟性を維持することをおろそかにしたために、痛みが出ていました
もしも健康が目的ならば、筋力アップをすることで、その目的は達成されていないのです

最も腰痛になりやすいのは腹筋運動です。腹筋運動は、腰を繰り返し前に折り曲げるために椎間板が後ろに押し出されます。椎間板ヘルニアのリスクを伴います
そして筋力アップをする時に気をつけなければならないのは、筋肉を急激に収縮させると筋肉が収縮したままで硬くなります。
それが腰痛の原因になります。
生活に必要な筋力は、生活することによって維持向上します
腰痛の予防と改善の為に筋力をアップすることは、かえって目的から外れてしまいます

腰痛を改善するためには、筋肉の強さでは無く、筋肉の柔軟性とバランスです
柔らかい筋肉は、身体の色々な動きに対応してくれます。硬い筋肉は、少しの動きで短縮します。なぜなら、伸ばされたときに切れないためです。これは筋肉も靭帯も共通の特徴です
伸びる範囲が広い柔軟な筋肉は、それだけ腰痛になりにくくなります
バランスとは、前と後ろ、右と左、上と下のように身体は対になってバランスをとって動いています
例えば、太ももの前側の筋肉が硬くなると、腰を後ろに反る時に痛みが出ます。または椅子から立ち上がる時や仰向けに寝た時に痛みが出て、少しの間身体を伸ばせない状態が特徴です。
この様なパターンの時に、腰の筋肉(身体の後面)だけをマッサージするとさらに前後のバランスが悪くなり、次の日に立てなくなったりします。
ぎっくり腰の時に腰だけマッサージをするのはリスクがありますので、専門家の判断を仰ぐ方が賢明です。

オステオパシーでは、痛いところだけをマッサージすることはありません
全体のバランスを見ながら、必要なところだけを治療します
正しい姿勢を維持しようとすると、過度の緊張が起こります

過度の緊張は筋肉と関節を硬くします
実はどんなに良い姿勢をしても、長く同じ姿勢をしていると筋肉と関節が同じパターンで安静にしているのと同じ状態になります
そうすると同じ筋肉と関節が硬くなります

最も多いのは、腸脛靭帯が硬くなることです。
腸脛靭帯は、「気をつけ」をして立った時に、中指が太ももに当たる場所です。
この靭帯は、骨盤から膝の下まで繋がる長い靭帯です
この靭帯は、私たちが、立っていても、座っていても、歩いていても、左右に倒れずに一定の姿勢を維持するために、緊張し続ける靭帯です
同じ姿勢や動作を長時間することは、この腸脛靭帯を硬くする事に他ならないのです。
腸脛靭帯が硬くなると、骨盤が下に引っ張られて傾きます。
その事で腰椎が歪み腰痛になります。

同じ姿勢を取っていない、つまり動いているのに腸脛靭帯が硬くなる人が居ます
それは、反復する動作をしている人です。
例えば主婦の方は、掃除機をかける動作、台所で料理をしているなどが当てはまります
特に0歳から5歳くらいまでの小さなお子さんの子育て中のお母さんは前かがみになる事が多いので、この場合も腸脛靭帯が硬くなります
運送業やスーパーなどの品出しをされている方なども、繰り返し荷物や商品を棚から出したり、入れたりする反復する動作で腰痛になります

さらに、腸脛靭帯の緊張は、座骨神経痛の原因にもなります。
お尻から太ももの後ろ、膝の後ろ、ふくらはぎ、踵、足の裏、足の指まで繋がっている長い神経が座骨神経です。
今あげた所のどこかに、動かないのに疼くような痛みやしびれがあれば、それが座骨神経痛です
この座骨神経痛の原因は、腰椎5番の歪みと腸脛靭帯の硬さです

腸脛靭帯を自分でメンテナンスする方法は、最近メディアでも紹介されている「テニスボール」が効果的です
横向きに寝て、太ももの下にテニスボールを入れて、腸脛靭帯に沿ってマッサージします
最初は、2~3秒ずつ位の時間で股関節から膝の少し上まで動かしていきます

治療方法は、オステオパシーの筋膜リリース、カウンターストレインが適切です。筋膜リリースは最近メディアでも話題になっていますが、もともとはオステオパシーのテクニックの一つです。
筋肉の表面を覆っている筋膜をゆっくりと時間をかけて引き伸ばしていくことで、本来の柔軟性を取り戻していきます。
カウンターストレインは、急激に引き伸ばされた筋肉や靭帯が短縮したままになっているのを、一番緩む位置にセットして自然に柔軟性を取り戻す方法です。
まとめ

あなたの腰痛の治療の常識が古いことがお分かり頂けたでしょうか。
大原則として腰痛のほとんどの原因は、レントゲンに映らない筋肉や骨と骨を繋ぐ関節の靭帯が硬くなる事が原因です。
レントゲンで映るのは骨の形(骨折や変形)と位置関係(ずれているや間が狭い)です。
筋肉や靭帯が硬いかどうかは分かりません
腰痛を改善するポイントは、腰や股関節の筋肉と靭帯の柔軟性とバランスです
そのためには適度な運動と同じ姿勢を取らない事です。そして筋肉と靭帯のケアが重要です